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量子コンピュータ、というものを知っているだろうか。なんとなく、今までのコンピュータよりスゴイもの、という感覚はあるだろう。では、どこがスゴイのか? 今、我々が使っているコンピュータは、ノイマン型コンピュータといって、「半導体が電気を通している状態と通していない状態で、ゼロとイチを識別し、その情報を演算する」ものである。つまり、こうしてあなたが見ているブログの記事も、これから見ようと思っているかもしれない宇宙の風景の動画も、机の隅っこにおいてある電卓も、すべて「ゼロとイチ」を基本的な単位として、そ [→続きを読む]

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世界に最初のコンピュータ(教科書に載っているような、非常に大きなものだ)が生まれたときの、面白い逸話として、アイゼンハワー大統領が、そのコンピュータの部屋に行き、こう問いかけたという。「この世に神はいるか」 興味深い質問だ。本当に、この世に神がいるかどうか、ということもそうだけれど、あまねきアメリカの大統領が、コンピュータに対して、知りたいことが「神はいるか」とは。 言うまでもなく、現代には子供でも知っていることであるが、コンピュータは全知全能ではない。知らないことは多いから、「神はいる」とプロ [→続きを読む]

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細胞分裂の時代である。世の中のあらゆるものが、細胞分裂に向かっているのだ。帝国主義は終わり、グローバリゼーションではなくグローカリゼーションが推し進められ、誰もがコンピュータ端末を持ち、個人の自由が何よりも尊重される。 「自律・分散・協調」という言葉が、SFCでは用いられる。今あげた、「細胞分裂」の例とだいたい同じだ。あらゆるものがスタンドアローン(=自律して)動くことができて、分散した機能を持ち、かつネットワーク化している、ということ。難しく言うと、「独立したサブシステムの集合が、全体としての [→続きを読む]

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今、僕の手元に、「Cooking for Geeks」という本がある。一風変わった料理の本で、Geek(アメリカの俗語で、いわゆるオタクや、何かのプロフェッショナルのこと)のための料理本、というタイトルだ。出版しているのも、Makeという、DIYや工作、プログラミングなどの創作カルチャーのモードと出版を請け負う会社。 書店でこの本を探そうと思ったら、陳列されているのは「料理」のコーナーではない。たいてい、「電子回路」「組み込み工作」「コンピュータ」などのコーナーにこの本は置いてあるだろう。 そう [→続きを読む]

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印刷された活字には魔物が住んでいるような気が、かつてはしたものだ。たとえば、「野菜をもっと食べなさい」とか、同じ説教をされるのにも、生きた人間に向きあって20分間、話し続けるよりも、全く同じことが書いてある一枚のプリントのほうが、信ぴょう性があるように感じられたりした。政治家の言うことは信用できなくても、官邸の出した声明や報告書に書いてあることには、嘘が混じっていないと思ってしまう。 活字になってしまっている分、必要以上に神格化して眺めてしまうものも少なからずあった。くだらない論説文や評論でも、 [→続きを読む]

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あなたのことを、これから100年後に覚えている人は一体、何人いるだろうか。最低限、顔と名前と、どういう人生を送っているか(送っていたか)を覚えてくれている、というだけでもよい。 よほど幸運か、卓抜した才能を持っているか、どちらかでなければ、その答えはおそらくゼロだろう。もちろん、医学の発展による、とか、類まれなる長寿と記憶力の持ち主が隣人にいる、とか、いろいろな事情がありえようが、ほとんどの人間がゼロだ。生きているときは、人生山あり谷あり、波瀾万丈の中に一筋の希望の光芒があり、幸福感や不幸感があ [→続きを読む]

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ロンドンオリンピックが終わった。世界最大のスポーツの祭典には、開会式から閉会式までを通して、イギリスという国が「ポップカルチャーの覇者」であることを感じさせるシーンが多かった。ビートルズのポール・マッカートニーをはじめとした、ポップスターをふんだんに起用したセレモニーの多くが、それを証明している。 こうしたセレモニーには、たいがい、出場参加国の首脳だの外交上の要人が出席している姿が見受けられる。もちろん彼らは、ピンク・フロイドやザ・フーのパフォーマンスを楽しみに来たのではない。では、何をしに来た [→続きを読む]

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「戦闘技術の歴史」という本を読んでいる。人類の長い歴史の中で、「戦争がどのように行われたか」ではなく、「戦闘がどのようにしてなされていたか」を解説している本だ。学校の授業などで、戦争の歴史を学んでも、具体的にどのような戦場で、人間がどう戦ったのかは教えてくれない。その点で、この本はすごく為になる。歴史を実感できる名著といえる。 現代にも、同じように戦争があって、血をともなう戦争はもちろん、経済戦争や軍備エスカレーション、宗教戦争など、あらゆる部分で闘争が展開されていると思うのだけど、「情報戦」と [→続きを読む]

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SFCでは「システム」という言葉は多くの意味を持っている。 SFCに限った話ではないが、特にSFCはそう。 というのは、単に授業や講義の範囲内でも、「社会システム」「地球システム」「環境システム」「生命システム」などの講義があり、文字通りの「システムエンジニア」も多くいて、それぞれの意味が違っている、ということ。 もっといえば、SFCの根幹をなす概念である「自律・分散・協調」もそう。この言葉も「システム」のことを言っている。 僕なりの解釈で、一番「合っている」と感じたのは、アーサー・ケストラーと [→続きを読む]

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今日は前回に引き続き、インターフェースの話。たとえば目の前にドアがあるとする。ドア、というよりは、2つの空間を仕切る何かがある、と考える。 これが「ドア」なのか「ふすま」なのか、はたまた「壁」なのかは、そのインターフェース、つまり、「人間から見てどうか・どう使うものか」で決まる。 昔、僕の住んでいた家には、開かずの間というものがあって、それは開けてはいけない扉で、また、僕もそれに好奇心をかきたてられたりすることはなく、むしろ、ルールは遵守するものだという気持ちから、一度も開けることはなかった。そ [→続きを読む]