主体性
子どもの頃、勉強が嫌いとまでは言わなかったが自分から進んですることはなかった。中学受験の塾もそこまで嫌ではなかったが日々通うのは面倒だったし休みだと嬉しかった。塾での勉強はそれなりにやっていたように思うが家で予習復習をすることはほとんどなく主体的に勉強していたとは言い難い。それでも小5小6の夏休みは夏期講習で毎日朝から晩まで塾で勉強していたように記憶しているし、かなりの時間を勉強に費やしていたように思う。基本的にはテストで点数を取るための学習の仕方でそれぞれの科目の本質はあまり理解できていなかった。特に社会は用語を覚えるので精いっぱいで、たとえば「廃藩置県」という用語を覚えて、藩が廃止されて都道府県の制度が始まった、という理解はしていたが、それがそれまでの社会をどれだけ覆すことだったのかまでは理解が及ばず、市町村合併くらいのイメージを持っていた。今振り返ると「詰め込み」という表現が的確で理解するというよりは詰め込まれた、という印象がある。
ただ、それがよくなかったという思いはなく、むしろ、そこで詰め込まれたものがベースになって、その後の考える力が形成されていった、という感覚がある。当時から自分が好きなことを突き詰めていったら何かを究めることができた可能性もゼロではないが途中で飽きて続かなかった可能性の方がはるかに高い。子どもの主体性を伸ばすことが大事なのは間違いないが、少なくとも一定の年齢まではそれなりの強制があった方がよさそうだ。スペインのサッカーは16歳までに徹底的に型を教える、と聞いた。自由奔放なサッカーはしっかりとした土台の上に成り立っている。
一方で強制といっても種類があるようにも思う。子どもの頃、親の影響なしに自分の意思で勉強したとは思えないが一方で勉強しろと言われた覚えもない。好きではないしどちらかといえば面倒だけど嫌いではないといったところか。スペインでサッカーをやっている子どもたちも型を教え込まれるからといって嫌々やっているわけではないだろう。教える側は強制しているところもあるだろうが子どもの意思も尊重している。
嫌にならない程度に詰め込まれたり型にはめられたりする中で次第に自分の好きなようにやりたい、という思いが募り、徐々に制限が外されて主体性を発揮していく、というのが望ましい形だろうか。高校生になる頃には自分で決断することの恐さを徐々に覚えつつ、その楽しさを味わっていきたい。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。
