追悼 ジェフリー・アーチャー


イギリスの作家、ジェフリー・アーチャー氏が5日に亡くなった。私はただの1ファンに過ぎないが、これまで30年以上彼の作品に魅了され続け、常に次の作品がいつ出るか楽しみに待っていた身としては残念でならない。

最後の作品「Adam and Eve」は6日に発売予定だった。イギリスやアメリカの書店ではすでに店頭に並べられているのだろうか。これが最後の作品になることは前から公表されていて、私も最後の作品だから、と今回だけはKindleやペーパーバックでなく、ハードカバーを購入しようとつい先日amazonで注文したばかりだった。最後の作品の発売日の前日に亡くなるなんて、いかにも彼らしい。彼の作品の登場人物ならいかにもありそうなことだ。彼の小説の中では人が死んだと見せかけて葬式まで行ったのにどこかで生きていたことが後からわかったりするから、今回亡くなったという報道は虚偽で、もしかしたら氏はどこかで生きているのではないかとついつい疑ってしまいさえする。

毀誉褒貶のある人だった。選挙に当選してイギリスの下院議員を務めたが財産を失い政界を退く。その後、発表した小説がベストセラーになり借金を完済し上院議員になる。が、裁判での偽証罪により2年間服役することになる。本人にとっては大変な人生だったと想像するが、そういった経験は余すことなく小説に活かされている。刑務所内の話や裁判の場面も作品によく出てくる。刑務所で聞いた話を元にして作られた短編集もあった。ストーリーテラーとして超一流だった。

氏は一つの作品を生み出すときに少なくとも14回原稿を書くという。 最初の3回はその作品がどのようなものかを知るため、次の4回はストーリーを成り立たせるため、次の7回は文章を成り立たせるため。単なる校正ではない。1つの作品について10通り以上もの選択肢を用意した上でベストなものを選ぶ、ということだ。80台後半になって書いた最後の作品「Adam and Eve」は20回書き直したという。卓越した物書きなので最初のドラフトからレベルは高いだろう。すでに高いレベルから20回書き直すことで本当に面白い、最高級の作品を創ることができる。そのプロフェッショナリズムに感銘を受ける。

8巻に亘るWilliam Warwickシリーズの作品を昨年完成させて、「Adam and Eve」も書き切って逝った。各作品もそうだが自身の人生もしっかり設計されていたかのようだ。最後の作品は感謝の気持ちを持ちつつしっかり味わいたい。


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