学習や教育を取り巻く環境の変化 2016


センター試験に代えて2020年度に導入予定の新テストについて残された時間が少なりつつある中、議論がますます活発になってきた。今年は新テストの内容が徐々に具体化していったが、それに伴い批判の声も高まり現時点でどのような方向になるかはまだ見えない。2月に物理と世界史、11月に国語記述式の問題案が示された。「課題山積」なのは記述式だ。国語の記述式問題は各大学が採点する高難度の80字超の問題と大学入試センターが採点する80字以下の2種類の問題案が提示されたが、採点の効率や統一性を確保するためか、中途半端な感は否めない。各大学が採点するのであれば今まで同様各大学の2次試験で課せばいいし、80字以下で書かせるような問題であれば採点負担が圧倒的に少ないマークシート式で十分だ。実際、2月に公表された物理と世界史の新問題案はマークシートであっても思考力を問うという意味で既存のセンター試験に比べて大きな改善がみられる。新テストについては複数回の実施が見送られることになったという報道もあった。「脱・一発勝負」は新テストの目玉の1つであり受験生にとって大きなメリットがあると思っていたが、形だけの記述式の採点負担のために断念するとのことで非常に残念だ。全体的に迷走している印象だが来年には試行テストを始めるということだ。引き続き注視していきたい。

文部科学省が新テストの準備を進める一方で各大学の入試改革は現在も着々と進んでいる。東大では初の推薦入試で77名の合格者を出した。東大では現行の一般入試でも2018年度から理科III類で面接試験を復活させるという。2017年度にAO入試を実施する国公立大学は過去最多の79校となる。大学の入試改革に伴い、高校でアクティブラーニングを採り入れるところも増えている。形だけのアクティブラーニングには弊害もあるが全体の方向性としては悪くないと思う。この動きを見据えて中学入試においてもプレゼンテーション入試、アクティブラーニング入試、等のユニーク入試が増えているという。2020年度から適用予定の新学習指導要領においてもアクティブラーニングが重視されている。

大学入試改革が進む中で民間の英語資格の重要性が高まっている。文部科学省は新テストにおいても民間の英語能力試験の結果を活用する案を提示した。家計状況によって国による受験料の補助も検討しているという。各大学の入試においてはAO推薦入試を中心にすでに外部の英語資格の活用が広まっているが一般入試も含めて今後さらに進みそうだ。個別に英語の試験を作成するよりも効率がよく4技能をバランスよく評価できるのはいいことだと思う。

大学入試に限らず英語学習への関心は相変わらず高い。英語が学べる学童保育や小学校低学年が対象の英語塾などの新規に開設するというニュースが目立った。主に社会人を対象にした結果コミット型の英語塾も増えている。フィリピン人が講師のオンライン英会話については提携の話題が多かった。

グーグル社のアルファ碁がトッププロに勝ったということもあり今年はどの業界でもブームと言っていいほどAIの活用が頻繁に話題に上った。教育業界も例外ではない。AIが個々の学習者の習熟度を把握し適切な問題を抽出するというような教材も出てきた。すでにあったものをブームに乗ってAI活用と謳っているようなものもあり現時点では半信半疑なところもあるがコンピュータを活用した学習教材は今後も発展し続けるだろう。

AIを使わないまでもテクノロジーを活用した学習は広まり続けている。文部科学省も教育へのICT活用に積極的だ。民間企業を中心に設立された協議会「ICT CONNECT21」と連携して過疎地や低所得層を対象にタブレットを配布するという記事もあった。民間のオンライン学習も進んでいる。学研ホールディングスは月額540円のオンライン学習サービス「学研ゼミ」を開始した。先行するリクルートマーケティングパートナーズの「スタディサプリ」やベネッセホールディングスの「進研ゼミ+」を追いかける格好になる。ただ、ベネッセは10月に主力の「進研ゼミ」で紙中心の教材に回帰する方針を打ち出しており各社とも試行錯誤が続いているようだ。

洋々は2016年も大学受験・高校受験・大学院受験についてAO推薦入試の個別指導を中心にアクティブラーニングも活用しながら受講生をサポートしてきた。今後の大学入試改革で書類作成や面接の準備のサポートの需要はますます増えることが予想される。今後も大学受験の動向を見守りながら必要に応じてテクノロジーも活用しより一層質の高いサービスの提供に努めたい。


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