学習や教育を取り巻く環境の変化 2022


コロナ禍3年目となった今年は諸々の制限が解除され、感染者数はいまだに多いものの、普段の生活はだいぶ元に戻った。昨年、東京オリンピックが無観客で行われたのが懐かしく感じるくらいだ。大学でも対面の授業がだいぶ戻ってきて活動の制限もなくなりつつある。文部科学省の調査によれば授業をほとんど対面にしているという大学は昨年の10月の時点でまだ65%だったが、今年の9月には85%になっている。7割以上を対面授業とする大学は98.5%にまでなった。基本的に対面だがオンラインの方がお互いの都合がいいところはオンラインのままという感じだろうか。

大学受験においても総合型や学校推薦型で一時的にオンラインで試験を実施していたところも元に戻したところが多い。ただし、中には国際基督教大学(ICU)のようにコロナ禍で実施するようになったオンライン面接を恒久化したところもある。

大学受験においてはコロナ禍とは関係なく入試の多様化が引き続き進んでいる。今年の2月に文部科学省が発表した資料によれば、令和3年度の大学入学者における一般選抜合格者の割合は初めて5割を切った。総合型選抜と学校推薦型選抜を経て大学に入学する人の数の方が、一般選抜を経て入学する人より多い時代についに突入した。アメリカではハーバード大学やイエール大学のロースクールがU.S. News & World Reportのランキングから離脱することを決めランキングの存在が危ぶまれているが日本でも偏差値カーストが崩れつつある。

東京工業大学が2024年度入試で総合型選抜と学校推薦型選抜に「女子枠」を設けるとしたのは新しい試みだ。2025年度には1学年の募集人員1,028人の14%の143人分を女子枠として割り当てる、ということでかなりのインパクトがある。都立高校の男女別定員も早ければ2024年度には撤廃されるということで教育における男女格差がなくなりつつあるようだ。ちなみに東京大学では今後6年間で女性の教授や准教授約300人を新たに採用して教員の女性比率を現状の16%から2027年度までに25%に引き上げる方針とのことだ。

今年は入試における不正行為も目立った。1月の大学入学共通テストの試験中に受験生がスマホで撮った問題が外部に流出した事件があった。また、同じく今年の1月に行われた一橋大学の外国人留学生向け入試でも問題が外部に流出した事件があった。こちらはスマホではなく小型のカメラを使っていたということでより手が込んでいる。デジタル機器の発展に伴い、不正防止がより難しくなる可能性がある。

高校では4月から新学習指導要領の運用が始まった。「情報I」が新設され、プログラミングやデータ分析が必須になった。すでに東大や京大が2025年以降「情報」科目を共通テストで採用することを発表している。

英語の学習を重視する趨勢は変わらないようだ。首都圏の中学校の入試では全体の半数が英語試験を採用したという。8年前と比べて英語試験を実施する学校は10倍に増えたそうだ。都内では都立高校の入試で使う英語スピーキングテストが中学3年生を対象に初めて行われた。

社会人に目を向けるとリスキリングという言葉が広まった1年でもあった。岸田文雄首相が所信表明演説で個人のリスキリングに今後5年間で1兆円投資するということが話題にもなった。人生100年時代、学校を卒業したら学びは終わり、というわけにはいかない。社会に出た後の学びの機会は今後も増えていきそうだ。


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