志望理由書作成の肝(9)構成と要素⑤ 大学での学び
問題意識を説明し、解決の方向性を示したら、それを実現するためにこれから大学の4年間で何をどのように学ぶかを示したい。当然ながら大学での学びを考える際にはその大学学部であることの必要性を常に意識しておきたい。志望理由書の目的は自分にとってなぜその大学学部に行くことが必要であるかを伝えることだからだ。
中心となるのは大学の授業を通しての学びだ。自分が解決したい問題のためにどのような授業を履修し、どのような知識や能力を身に着けようと思っているのか。具体的な授業名を挙げることは悪いことではないがそれだけでは十分でない。その授業からどのようなことを得ようと思っているのかを伝えることの方がより重要になる。何となく役に立ちそう、というだけでは説得力に欠ける。その学びが自分の実現したいことのために本質的に必要であることを伝えなければいけない。そのためにはまずその授業の内容をしっかり理解しておく必要がある。多くの大学ではインターネットでシラバスを公開しているのでそれを参考にするのもいいし、公開されていない場合や公開されていても情報が不十分な場合は、直接大学に問い合わせるといい。授業で学べることのイメージを具体的に持つことで初めてなぜその学びが自分にとって本質的に必要なのかを語ることができる。
ゼミや研究会を通しての学びも重要だ。授業よりもゼミや研究会の方が大学学部ごとの違いが明確でそこでの学びの必要性が言えればその大学学部でなければいけない理由を伝えやすくなる。問題の解決のためにどのような調査、活動、研究をしようと考えているのかを示せると知識の習得に止まらない、より広範な学びのイメージを示すことができる。もしそのゼミや研究会のホームページが公開されていて所属する学生の論文が掲載されていればその内容は大きなヒントになる。
課外活動や留学を通しての学びを含めるのもありだ。可能であれば、その大学でしかできない活動や留学について書きたい。ただし、その場合でも、大学学部の必要性という意味では弱くなるので重点を置き過ぎない方がよいだろう。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。