志望理由書:抽象度の調整


志望理由書を読んで同じ字数でも密度が濃く感じることもあれば、中身がスカスカに感じることもある。表現が冗長だったり、同じことを繰り返したり、当たり前に感じられることをたくさん書いたり、スカスカになる要素はいろいろあるが、ちょうどいい具合にするのがなかなか難しいのは抽象度の調整だ。抽象度が高いことばかりを書き連ねるとどうしてもスカスカになる。これまでの経験上、大人が手伝うと耳障りのいい言葉を並べた、抽象度の高い文章になりがちだ(もちろん洋々のプロは別として)。成人式や卒業式などの式典の来賓の挨拶でつまらなく感じるのも抽象度が高いことばかり話すケースが多いように思う。

抽象度が高いままだと、これまでにない新しいことを言うことが難しく、どこかで聞いたことのある内容になってしまいがちだ。面白いと思ってもらうためには他の人と差別化する必要があるが、そのためには抽象度をある程度下げた方がやりやすい。一方で、具体的なことばかりだと伝えられる範囲が狭くなる上に、全体の主張がわかりにくくなる。具体的なストーリーと抽象的な記述を適切に組み合わせることで密度の濃い、かつ、伝わりやすい内容にすることができる。

志望理由書を書く場合、きっかけの説明などで自分自身のエピソードを書く際は具体的に書きやすい。ただ、自分自身の経験一つをとっても、どのくらい詳細に伝えるべきかの加減は簡単ではない。たとえば、ボランティアに参加して感じた問題意識について書くときに、ボランティアの様子を詳細に書くこともできれば、抽象度を高めて一文でまとめることもできる。どちらがよいかは全体のバランスによる。大学で学びたいことを書く際も授業名や研究会の名前を挙げるなど具体的に記述しやすい。具体的に書けば自分に必要な学びが何かを理解していること、その大学学部で学べる内容を熟知していることを示すことができる。一方で抽象度を上げて大学で何を学び、何を追求したいのか、ということをより簡潔に示すこともできる。これもどの程度の抽象度にすべきかは全体の中でのバランスで判断すべきだ。

ストーリーラインが決まった後もそれをどのように伝えるかによって密度の濃さが大きく変わってくる。書いてみて密度が薄いと思ったら、冗長性を排除したり言葉の選び方を工夫したりすると同時に、箇所によって抽象度を上げたり下げたり試行錯誤してみるのは一つの手だ。


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