神の領域


この宇宙にあるすべての物の動きを捉え解明しようとするのが物理学だ。古くは古代ギリシャのアリストテレスや古代ローマのプトレマイオスから地球上の物体や天体の動きの探求は始まっている。16世紀にコペルニクスによって地動説が唱えられると、ケプラー、ガリレオがそれを前提とした理論を打ち立て、ニュートンへと続き古典力学が完成する。宇宙のすべての物が一定の法則に従って動いている、という概念が生まれたのはこの辺りだろうか。18世紀に入り電気の存在が知られるようになり、力学とは別に解明しようとする動きが広がりファラデーらの研究を経て19世紀後半にマクスウェルが電磁気学の理論を打ち立てる。マクスウェルは電磁波の存在を予想し、人間が認識する光もその一部であろうことを示した。電気や電磁波等、人間の目には見えない物理現象まで解明が進んだ。マクスウェルの理論を元に電磁波である光の速度を絶対的なものとしてニュートンの古典力学を更新する形で新しい時空の概念を提示したのがアインシュタインだ。アインシュタインが唱えた光量子仮説は20世紀の量子力学の発展にもつながった。

これまでの物理学者たちの探求の歴史を見ると少しずつだが着実に宇宙の真理が解明されていく様子がわかり感動する。宇宙の謎を人類の叡智を結集して何世代にも亘って国を跨いで引継ぎながら解いてきたようだ。ただ、大いに進歩しているとはいえ、まだわかっていることよりもわからないことの方が多い。人類の知能では、たとえAIの力を借りても、所詮解明できないことなのかもしれない。

とはいえ、これまでわかってきたことだけでも地球上の生命体を含む宇宙のすべてが何か一定のシンプルな法則によって動いていることを感じさせる。宇宙の中で現時点で把握されているたった4種類の力(そのうちの2つが重力と電磁気力)を統一する理論もそんなに遠くない将来に完成することが期待されている。138億年前と言われる宇宙の誕生から現在に至るまで物質やその運動も含めてすべてのことがシンプルな法則によって決定され今の宇宙が形成されてきたのだとすれば無宗教であっても神の存在を感じる。それは形のあるものではなく、意志を持つものでもなく、法則そのものがそれなのかもしれないが、創造主という見方もできる。物理学の発展によって、自然科学を信じる人は、地球中心、人間中心の物の見方を大きく変えてきた。宇宙の法則が地球上の生命体を含むすべてのものの動きを決定する。その法則に支配される人類が今後宇宙の謎をどこまで解明できるかは大変興味深い。


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