志望理由書では自分の世界観を伝えることが大事だが、世界観を構成する自身の過去、現在、未来のすべてを制限字数内で伝えようとすることには無理がある。大学受験において志望理由書は多いところでも2000字程度の文字数制限があり、中には800字やそれより少ない字数で書かせるところもある。限られた字数の中で自分の世界観を伝えるためには伝えるべきことを大幅に絞る必要がある。ただ単に絞るのではなく、その少ない文字数の中に自分の世界観が凝縮されていなければならない。そのような書類を作成するために有効なのが自分のテーマを設定することだ。テーマというのは自分が大学で追求していきたいことで、それが自分の世界観を端的に示せるような形で設定できれば、そのテーマを中心にストーリーを考えることで、短い字数の中でも自分の世界観を伝えやすい。

世界観を伝えられるようなテーマを決める上で第一に考えるべきは自分らしさだ。他の人が簡単には真似できないような、自分ならではのテーマにしたい。自分ならではのテーマにするために手っ取り早いのは、自分の過去、つまり、自分が今まで取り組んできたこと、過ごしてきた環境、読んできた本、等から生まれた問題意識をベースにテーマを選ぶことだ。部活やボランティアを通して感じてきた違和感、住んでいる地域が抱える問題、自分が知識を持っている分野における課題、等を大学での学びに結び付けることができれば、他の人が真似しにくい自分らしいテーマになり得る。

気をつけなければいけないのは他の誰かが言っているような問題だと、つまらないと思われてしまいかねないことだ。何となく、問題として扱うべきことはこんなことなんだろうな、と推測して設定するとうまくいかないことが多い。素直に自分自身が感じた違和感や問題意識を膨らませていく方が、面白いと思ってもらえる可能性は高い。

一方で、大きな分類として、ありがちな問題や課題に含まれるようなものでも問題はない。たとえば、環境問題や地域活性化といった、過去に多くの人が扱ってきた問題に関することを選んでも構わない。そういう大きな問題の中のどこに問題意識を持っていて、その問題解決のためにどのようなアプローチを取ろうとしているか、というところで独自性は出せる。これまで多くの人が議論してきた問題や課題の中でも自分の過去に関連付けて自分ならではのテーマを提示することは十分に可能だ。