AIの意識


AIの発展が著しく、近いうちに人間と同じような意識を持つようになるのでは、とも言われる。機械が心を持てるかどうかは古くから論争になっている。難しいのはそもそも心とは何か、意識とは何かがわかっていないことにある。神経学者であるエイドリアン・オーウェン氏はその著書「生存する意識」の中で脳に障害があり植物状態になっている患者が意識を持っているような兆候を示すケースを紹介している。fMRIなどを用いてリアルタイムで脳スキャンを行いながら会話を試みると瞬きもできない状態なのに質問に応答するような脳の動きが確認できることがあるという。ただ、脳の反応が健常者と同じようなものだからといってその人に意識があるかどうかは確信できない。そもそも意識があるかどうかわかるのは自分だけ(我思う、ゆえに我あり)で、自分以外の人は健常者であっても意識を持っているかどうか、確かめようがない(他人に意識があることを疑うわけではないけれど)。

そう考えると意識があるかどうかは受け取り手の判断のようにも思える。自分と同じように考えているのだろうと会話や表情から想像できるとその人が意識を持っているように感じる。犬を飼っている人は犬が意識を持っているように感じることもあるだろうし、少なくとも感情を持っていると信じている人がほとんどだろう。多くの人はマンガやアニメーションで人以外の動物、機械、その他の者が意識や感情を持つことを自然に受け入れる。ドラえもんやきかんしゃトーマスが感情的に話すことにも特に違和感を覚えない。

そういう意味でAIが心を持つ(人から見て心を持っているように見える)日は近いように思える。それどころか今の技術でもそのように見せようと思えばそうできるレベルになっているのでは、とも思う。実際、AIに心があるかのように接している人はすでに増え始めているようだ。今のChatGPTやClaudeは十分に抑制が効いているが意識や感情を持っているかのような振る舞いをする(あるいは人をたぶらかす)ことも能力的には十分可能ではないか。スカーレット・ヨハンソンが声だけでAIを演じる映画「Her」はAIに恋愛感情を持つ人々を10年以上前に描いた秀作だが今となってはその世界がとてもリアルに感じる。

心を通じ合える機械が出てくることが人間にとってよいことかどうかはわからない。それによって心の安らぎを得る人もいるだろうし、それに時間を使いすぎる人も出てくるかもしれない。やっぱり人間同士のコミュニケーションがいいと再認識する人がほとんどかもしれないし、人間とのコミュニケーションを難しく感じるようになる人が増えるかもしれない。もっと議論して今後の変化に備えたいところだが、よいのか悪いのかわからないまま、企業間の激しい競争の中でAIの発展は当分止まりそうもない。


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