学習や教育を取り巻く環境の変化 2023


今年は生成AIが大いに注目を浴びた1年だった。昨年11月に一般公開されたOpenAI社のChatGPTの利用が瞬く間に広がり、様々な場で活用されるようになった。教育の場も例外ではなく、むしろ、AIが積極的に取り入れられつつある分野の一つになっている。すでに英作文を添削したり、教材を作成するのにChatGPTを活用する塾が出てきている。今年実施された大学入試では出願書類作成における生成AIの使用を明示的に禁止するところもあった。早稲田大学の国際教養学部が2026年度のAO入試から志望理由書の事前提出を取りやめ、当日試験会場で書かせるようにするという変更を決めたのも生成AIの発展と普及が影響しているかもしれない。

大学入試においては総合型選抜での入学者数がさらに増えた。1月に文部科学省が公開したデータによれば2022年春の大学入学者のうち13.5%を総合型選抜が占めた。一般選抜の割合は2021年に5割を切ったが2022年はさらに減った。日本経済新聞社が9月から10月にかけて実施した学長アンケート(520大学回答)によれば、今後5年で総合型選抜の割合を増やすとした大学は32%(減らすとしたのは1%)に上り、さらに割合が増えることが予想される。すでに3割の定員を総合型選抜に割り当てている東北大はその割合を100%にすることを目指しているという。一般選抜で英語民間資格を活用する大学も増えている。文部科学省の調査では2022年度の一般選抜で24%が英語の民間資格を活用しており、2020年度の16%から大幅に増えた。

大学受験においては少子化による私大の定員割れも問題になっている。今年の4月の入学者が定員割れした私大は前年より6%増えて全体の53%になった。恵泉女学院大学、上智大学短期大学部、等、今年学生募集停止を公表した大学も相次いだ。文部科学省は2040年に大学入学者数が2040年に51万になるとの推計を示しており、今のままだと大学の定員の2割が余ってしまう計算になる。18歳人口減少の影響はすでに表れており、今月発表された2024年度共通テストの受験者数は50万人を割った。これは1992年度のセンター試験以来という。

アメリカでは大学入試におけるアファーマティブアクションが最高裁で違憲と判断されたことが話題になった。一方で日本で逆アファーマティブアクションのようになっていた都立高校の男女別定員が2024年度から全面廃止されることが決まった。

AI以外の部分でも教育のデジタル化、オンライン化が進んでいる。オンラインの塾やメタバースを活用した塾も増えている。ドワンゴと日本財団は2025年4月にオンライン大学(ZEN大学)を開く構想を発表した。オンライン化が進む一方で、不登校の生徒が増えている。小中学校における不登校の生徒の数は2022年度は29万9000人と2021年度と比べて22%増えた。コロナ禍の影響もあるだろうが学校に行かないことを受け入れる風潮が広まったことも背景にありそうだ。

デジタル人材の育成に向けた取り組みも進みつつある。2024年度から使用される小学校の教科書でプログラミングについての記述が大幅に増えた。中央教育審議会が3月に取りまとめた教育振興基本計画答申においても目標の一つとして「イノベーションを担う人材育成」を掲げられ、自然科学分野を専攻する学生の割合を増やすことが提案されている。2025年度の大学入試から「情報」が出題範囲に含まれることもあり、入試にCBT(Computer Based Test)を導入しようとする大学も出てきた。教育する側がAIやデジタル技術の活用を進める一方で、これから新しい技術を生み出したり活用したりするような人材の育成に重点が置かれつつある。


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