米航空宇宙局（NASA）の無人探査機ニュー・ホライズンズから先週冥王星の表面の高解像度の写真が届いた。冥王星は地球から約48億キロ離れているとのことで光の速度で進んだとしても到達するのに4時間半かかる。距離が遠いだけに探査機がそこに辿り着くまでにかかった時間も短くない。打ち上げられたのは2006年1月19日で今回冥王星に最接近するまで実に9年半の年月が経っている。時速55,000km強のスピードで1日130万km、1年で5億kmくらい進んでいた感じだろうか。当然探査機を打ち上げられるまでの間に綿密な準備がなされてきたはずだからプロジェクト自体の期間は10年を優に超えるだろう。今回無事冥王星への接近に成功して当初からプロジェクトに関わってきた人の感慨は一入だろう。とても魅力的なプロジェクトで参加者が誇りに思っていることは想像に難くない。

NASAのプロジェクトに参加するのは無理かもしれないけれど、やるからには10年、20年かそれ以上かけて行うような仕事をしたいと思う。日々の仕事が楽しいことばかりでなかったとしてもそれが10年後、20年後に何か大きなことにつながると思えば楽しく仕事ができる。１日130万kmしか（地球上で考えるとすごい距離ではあるけれど）進まなくても毎日着実に目標に近付いていると思えば大いに励みになる。10年という年月はもちろん短くはないが仕事に打ち込んでいれば意外とすぐに経つ期間でもある。10代、20代の頃は10年というととても長い歳月のように思えてそのくらい時間があれば何でも実現できそうな気がしていたが40歳を過ぎた今10年という期間はとても現実的で気を抜いているとあっという間に経ってしまう時間のように感じる。

洋々は2005年9月に登記した会社なのでもうすぐ設立10周年を迎える。我々洋々メンバーは洋々に来てくれている人のために日々全力で仕事をするだけだが、時々振り返ると洋々自体が少しずつ成長していることを実感する。自分たちの会社を一から立ち上げる起業家の最大の楽しみはその会社の成長を感じることだろう。少しずつでも着実に、10年でも20年でも時間をかけて、洋々がより多くの価値を提供できるような場となるようにその成長を支えていければと思う。