畳に上がって、先鋒の奴とすれ違って、礼をして試合場に入る。審判が「はじめっ」って言う。ファーストコンタクト。この実際に相手と触れ合う直前、頭に浮かんだのは「自分、本当に試合出ちゃってるよ」という感覚。数ヶ月前に出場が決まって、必要最低限の手順を踏んでここまできた。圧倒的準備不足で、変な話だがこの瞬間まで「戦う」ことの実感がなかったのかもしれない。 そんなことを思うのも一瞬、昔身体に染み込ませた組手の手順を踏んでカタチを作る。左組み同士の相四つだから、まずは右手で相手の肩を突いて、左手も使って引き [→続きを読む]