ロープウェイの山頂駅には思った以上に人がいて、人気に驚くと共に、自然を独占できない残念さがあった。看板によると、ロープウェイ駅から5分ほどのところと更に15分のところにポイント、いわゆるパワースポットがあるとのこと。その5+15分かけて行くところがいわゆる山頂だ。目指すのはもちろんそこである。下調べというものを全くしてこなかった僕らはいつものようにサンダルで、まぁまぁ厳しい山道を足早に登りだした。 高度が高いお蔭で多少涼しいとは言え、山の中を10分も歩けば汗が噴き出してくる。首の辺りから腹にかけ [→続きを読む]

うどんで腹を満たすことを諦めた我々は、とりあえずK行きつけの甘いもの屋さんで一時的な空腹を凌ぎ、先に進むことにした。この店は70歳を超えたお婆ちゃんが一人でやっている、いかにも田舎らしく懐かしい感じのする店であった。地元の女子中高生の溜まり場らしく、僕らが行った時にも部活帰りらしい女の子たちが狭い店内を占領し楽しそうにどうでもいい話をしているようだった。その空気を粉々に壊しながら、少女たちの少し怯えたような数奇な視線を感じつつ、気持ち大きめのクレープを3口くらいで胃袋に流し込んで、店を後にした。 [→続きを読む]

もの凄く行動力はあるけれど、計画性がまるでない。おそらくこれが、僕の余暇時間に対するスタンスだ。 ある程度の時間がポッカリ空くと、とりあえず何かしたくなる。でも特に「これだ!」というものが思い付かないから、適当にどこかへ行ってみたり、誰かを呼んでみたりする。何をするかは、どこかへ行ったり、誰かを呼んだりしてから考えればいい。いちおう断わっておくが、これはあくまで余暇時間の考え方であって、日常生活では計画性も持っているので心配なく。 この前の月曜日、3連休の最終日、柔道部の仲間2人と、思い付きで山 [→続きを読む]

今回の合宿では柔道の練習は午後だけで、午前中はトレーニングに充てられた。何のトレーニングをするかはその日の監督の気分次第だが、有酸素系がメインである。具体的には火・金はランニングトレーニング、水は自転車トレーニング、木はウエイトトレーニングであった。 今回のお話は水曜日の自転車トレーニング。自転車トレーニングと言えば、ある程度のロードバイクやマウンテンバイクを使うのが普通である。そういった自転車を人数分借りる手間と費用を考えれば、合宿中にするトレーニングではない。何を隠そう合宿での自転車トレーニ [→続きを読む]

「天理合宿、キツかった?」と尋ねられたら、僕は「天理合宿、暑かった」と答える。客観的に練習量だけを振り返れば、午前中1時間半ほどのランニングトレーニングと、午後2~3時間程度の練習・・・特にオーバーワークでもなく、もちろん楽でもなく、ちょうどよく自分で自分を追い込めるものだったと思う。が、とにかく暑くて暑くて、何をするにも無駄に体力を奪われているような感覚で苦しかったのが今回の合宿である。 天理の道場にはエアコンがない。畳同様“伝統”なのか、他の理由からなのかは分からない。(そういえば慶應の道場 [→続きを読む]

7月4~9日の日程で天理大学に行った。パーク24柔道部の合宿である。他のパーク柔道部員たちは、合宿も含め何回も訪れたことのある天理大学だが、ちょうど大学院のテスト期間と重なって去年の合宿に参加することができなかった僕は今回が初訪問である。だから、天理ならではの“文化”というか“伝統”というか、独特な環境・習慣一つ一つが僕にとっては新鮮で面白かった。   天理の道場には全部で6試合場ある。入口から見て横2×奥3という具合だ。そこに敷かれている畳は3種類。一番奥の2試合場は最新の畳。いつも [→続きを読む]

今年は気付かぬうちいつの間にか梅雨になっていた。たぶん今月の始め、僕らが試合で宮崎に行っている間に東京も梅雨入りしたんじゃないかな。だから今日から梅雨です、といった節目に立ち会うことが出来ず、心の準備もままならない状態でキラキラとした太陽とお別れすることになってしまった。 僕は、ジメジメして暑苦しいこの梅雨の季節が好きではない。ちょっとそこまで出掛けただけで汗をかくし、洗濯物はいつも生臭いし、低気圧で全身がむくんでしまう。 ただこの季節には、夏がもうすぐそこまで来ているというワクワク感がある。今 [→続きを読む]

「あれ、ここトイレだっけ?」 と僕の車の匂いをバカにしてくるやつがいる。こんな失礼を言えるのは、もちろん柔道部の同期である。 ここでの匂いとは、つまり車に置いている芳香剤の匂いである。いわゆるトイレのクサい匂いのことではないので安心してほしい。 僕はたいてい自分の車に、ドン・キホーテで買った、葉っぱの形をしたぶら下げる型の芳香剤を置く。匂いの種類に関して多少の好みはあっても、特別こだわりはないので、いつも適当に鼻に止まったやつを選んでいる。 だから、適当に選んだそれをトイレの芳香剤だと馬鹿にされ [→続きを読む]

昔同じクラスだったり同じ学年だったりした連中と久しぶりに集まる同窓会というものに、僕は行ったことがない。と言うより呼ばれたことがない。それには理由がある。もちろん、単に僕が敬遠されていて僕だけ知らされないままどこかで開催されている可能性は否定できないが、それとは別の心当たりがある。それは、僕の少し変わった学歴だ。 僕は小学校こそ地元の市立に通っていたものの、中学・高校・大学はそれぞれ別系列の私立に通わせてもらった。中学は桐朋、高校は東海大相模、大学は慶應である。 僕の小学校は田舎の小さな学校で、 [→続きを読む]

僕の車に付いているカーナビは、一日の始めにその日が何の日かを教えてくれる。日付が変わって最初にエンジンをかけたタイミングで「おはようございます。今日は〇月〇日、〇〇の日です。」と言ってくるのだ。 〇〇の日に当てはまるのは、誰もが知っている“こどもの日”や“みどりの日”といった祝日名や、“憲法記念日”や“終戦記念日”といった歴史上の記念日名などである。しかし当然、365日全てにこういった立派な名前があるはずもなく、ほとんどが「何だそりゃ?」と首を傾げたくなるような名前である。例えば2月28日は“バ [→続きを読む]