人はストーリーを創って物事を理解する。無味乾燥な世界に味や色をつけるのは人間のストーリーである。世界はそれぞれの人の脳が創りだすストーリーでできていて、人は、人間の行動はもちろん、自然現象であっても、何であっても、その意味を考えようとする。 人は想像力が豊かでほとんどのものに感情移入できる。小説の登場人物、映画の登場人物はもちろん、人でないものでも人と同じように感情移入できる。ミッキーマウス、スヌーピー、くまのプーさんなどの動物のキャラクターはもちろん、機関車トーマスなどの電車にも感情移入ができ [→続きを読む]

成功した経営者の事例を読むとそれぞれに教訓を得る。しかし、その教訓を活かすことは簡単なことではない。 その理由の一つは、多くの場合、ある成功事例に対し、それと全く反対の手を打って、成功した事例も存在するからだ。たとえば、大事な場面で大胆な思い切りのよさが成功の要因になったという事例はよくある。大恐慌で皆が株を売っていたときに割安の株を買い漁って大儲けした、とか、勝負どころで全財産を賭けて事業拡大にチャレンジした、とか、そういう事例だ。しかし、一方で、博打を打たず、背伸びせず、自分たちにできること [→続きを読む]

米Google社は数多くのサービスを提供しているがその多くは無料で使える。ネット検索はもちろんブラウザ、表計算、ワープロ、スケジュール、地図といった各種アプリケーションからスマートフォン用のOSまで無料で使用できる。ネット検索には広告が表示されるが、一部のアプリケーションでのサービスには広告すら出ない。だからサービスによってはGoogleに収入が全くないケースもあるはずだ。しかし、ユーザ基盤を広げることによって、結果的にインターネットにおける広告効果を上げて、その収入で賄う。議決権のある株式を制 [→続きを読む]

企業がグローバルに営業活動を行うときその企業の国籍はブランドイメージに大きく影響する。フェラーリ、フェラガモ、ベネトンといったブランドが醸し出す華やかでセクシーなイタリアのイメージは、たとえばアリタリア航空のような全く別のイタリアの企業にまで影響している。マクドナルド、コカコーラ、ディズニーランド、スターバックスといったブランドが作りだす明るくて楽しそうな感じのアメリカのイメージも他のもっと真面目な感じのアメリカの企業にも少なからず影響している。日本の企業についてもMade in Japanとい [→続きを読む]

高校生と話していてふと思ったのだが一々「一応」をつける人が多い。 「一応、サッカー部でキャプテンやっています。」「一応、東大を受験する予定です。」 よく考えたら高校生だけでなく、社会人でも多い。 「一応、プログラマやっています。」「一応、資格もっています。」「一応、資料用意しておきました。」 控え目な日本人特有の言い方だろうか?英語にうまく訳す言葉が思いつかない。「kinda (kind of)」は少し似てるし、日本人の「一応」なみに連発する英語のネイティブスピーカーも多いが、ニュアンスは少し違 [→続きを読む]

「まずは笑わせ、次に考えさせるような研究」に対して与えられるイグノーベル賞という有名な賞がある。昨年その経営学賞を受賞したのは、アレッサンドロ・プルチーノ、アンドレア・ラピサルダ、セザレ・ガロファロという3人のイタリア人で、その研究内容は、「階層組織において、実績に応じて昇進させるよりも、ランダムに昇進させた方が、組織として効率がよい」というものであった。 実はこの理論は組織内の人の感情やモチベーションを一切考慮していないし、昇進後に必要な能力を一切考えずに昇進させることを前提としているので、現 [→続きを読む]

将棋や囲碁のプロの対局をテレビで見ながら次の1手を予想するとたまに当たることがある。結果だけみるとプロの打った手と自分の考えた最善手が一致している。しかし、その意味するところは大きく違うだろう。仮にプロの棋士と話す機会があって「あそこは6八銀ですよね」と言って意見が一致したように見えても、おそらくそこに至る思考のプロセスは全く異なる。次元が違うと言ってもいい。 傍目八目という言葉もあるが、あくまで同レベルの第三者が外から見たときに局面がよりよく見えていい手を思いつくことがあるということで、素人が [→続きを読む]