今年も残り1週間だ。振り返ってみると国内では今年も政治に関するニュースが多かったように思う。尖閣諸島沖での中国漁船衝突問題を筆頭に政治家の行動が注目を浴びることが例年以上に多かったのではないか?ただ、首相交代があったのも最早5年連続で、意外と例年と変わらないかもしれない。仙谷官房長官が記者会見で「政局的な記事が多過ぎる」と苦言を呈したという記事を数日前に読んだが、政局的な話題の多さももしかしたら今年だけのことではなく、例年と同じレベルなのかもしれない。国民が政治に関心をもっていることはいいことだ [→続きを読む]

ここに300ページの本があるとする。その中に10ページ落丁があることがわかると、それだけで読む気を失ってしまう。100%を求めているというわけでもないが少しでも何かが欠けると途端にやる気を失ってしまう。ノーヒットノーランまであと少しのところだったのに、1本ヒットを打たれて突然崩れてしまう投手のように。 しかし、300ページのうち、10ページを読まなくても内容は理解できる可能性が高いし、小説であっても十分楽しめるだろう。本当に読みたい作家の本なら、1ページだけでも読みたいと思うはずだ。 100%準 [→続きを読む]

先日北京に行く機会があった。中国に行くのはちょうど10年ぶりで北京は初めてだ。中国には以前勤めていた会社の出張で3回ほど行ってことがあったが、距離的にも文化的にもかなり差のある深セン近辺にしか行ったことがないのと、成長著しい中国での10年前までの姿しか知らず、今回の滞在で中国に対する印象がだいぶ変わった。一言でいえば随分落ち着いた印象を受けた。 10年前の深センでは交通マナーがひどく、クラクションが鳴りっぱなしだった印象がある。一方通行を逆走する車も珍しくなく、ルールはあってないようなもので、交 [→続きを読む]

目的と手段は簡単に入れ替わる。もともとある目的を達成するためにやっていたはずのことがいつの間にかそれ自体が目的になってしまう。政治家になって活躍するために選挙に勝とうとしていたはずなのに、逆に、選挙に勝つために政治家として実績を残そうとする。あるいは、より大きなことを達成するために資金が必要だったのに、いつの間にか、お金のために何かを達成しようとする。 入れ替わらないまでも、目的と手段は混同されがちだ。将来の目標を聞かれたときに職業の種類で答える高校生は多い。しかし、職業は基本的に何かを実現する [→続きを読む]

好きな作家の新作が出てくるのは待ち遠しい。他の作家ではいけない、その作家でないといけないのだ。村上春樹氏のファンはずっとその新しい小説を待っていて、数年に1回発売されると瞬く間にベストセラーになる。新作でなくても、たとえば今年初めに亡くなったJ.D. サリンジャー氏の未発表作が発売されることがあれば、ファンにとってはたまらない。Holden CaulfieldやGlass家の世界に惹きつけられた人は、その世界の感覚をもう一度新鮮な気持ちで味わいたいと思うのである。 音楽でも同じ。自分の好きなアー [→続きを読む]

私は基本的に無駄が嫌いでシンプルで必要十分なことが好きだ。鞄の中も、財布の中も、必要なものだけを入れておきたい。机の上もよく使うものだけを置いておきたい。しかし一方で時には冗長性も大事かなと思うことがある。 アップル社のスティーブ・ジョブズ氏はスタンフォード大の卒業式で行った有名なスピーチで、後から振り返るとすべての経験が今につながっているが当時はそれがどこにつながるのか考えもしなかった、と言っている。 そのとき必要十分と思うことだけをやっていては未来に広がりがない。どきには無駄と思われることを [→続きを読む]

日本人として誇るべき日本のよいところはたくさんあるがその中でもはっきりとした四季の美しさは、古くから言われ続けていてもなお、言いたくなる。冬から春に変わるときに梅が咲き、桜が咲いて、だんだん空気が緩んでくると同時にいろいろなことが始まりそうな予感で前途洋々になってくる気持ちももちろん悪くない。しかし、急に涼しくなり、快適な一方で、少し次の冬を感じるせいか、憂いを帯びた感じの今の時期は春に劣らず好きだ。特に金木犀の香りがするといろいろな感覚が敏感になり音楽も心に沁みるし本を読んでも感動するし食べ物 [→続きを読む]