慶應義塾大学法学部のFIT入試という総合型選抜では模擬講義を受けた上でその内容を踏まえて論述する、という試験が課される。50分の講義中にはメモを取ることができ、講義後の論述中もそのメモを参照できるようになっている。試験後メモは論述の回答用紙とともに回収される。メモ自体が採点の対象になるかどうかは不明だが論述する上でメモが重要であるのは間違いない。論述のために与えられる時間は45分で字数制限はないが例年の合格者はおそらく1,000字以上は書いている。45分で1,000字以上書くとなると文章の構成に [→続きを読む]

京都大学が入学者選抜に女性募集枠を設定することを先月発表した。2026年度入試(現高2生が受ける入試)より従来からある特色入試に加える形で理学部で15名、工学部で24名、女子に限定して募集を行うという。女子枠には公平性の観点から賛否両論あるが、今の男子過多の状態をいびつな形と捉えるのであればそれをできるだけ早く修正するために定員の一定数を女子に割り当てるのは悪いことではないと思う。 ここで注目したいのは女子枠ではなく、試験の内容だ。工学部の女子枠は学校推薦型選抜で書類と共通テストで審査され、共通 [→続きを読む]

オマハの賢人と称される投資家ウォーレン・バフェットの投資の真髄は2点に集約される。1つは現時点で過小評価されている割安な案件を見つけること、もう1つはこれから長期的に利益を産み続ける案件を見つけることだ。元々前者のバリュー株投資のみを行っていたところ、盟友チャーリー・マンガーに出会い、優れたビジネスをそこそこの価格で買う、ことを目指すようになったという。たとえば1,000円の価値があるものが600円で売られていてそれを買って数年後に予測通り1,000円になればそこで売って400円の儲けを得る、と [→続きを読む]

全力で準備した総合型選抜で不合格になると落ち込み過ぎてその大学学部に対して負の感情を抱くようになってしまうことがある。合わなかっただけ、と綽々と受け止められるとよいのだが偏差値カーストの意識に囚われると憧れていたコミュニティに受け入れてもらえなかった、自分はそのレベルでなかった、という屈辱感に苛まれ、憧れの気持ちが嫌悪に変わったり、コンプレックスを抱いたりすることもある。中には、もう同じところはもう一般選抜でも受けたくない、という人もいる。 自分が否定されたような気持ちになり、その相手を拒絶した [→続きを読む]

大学受験の総合型選抜の話をすると、それって就職活動と同じですね、と言われることが少なくない。実際、かなり似ているところもある。これまでどういうことをしてきて、これからどういうことをしたいと思っていて、なぜその大学、あるいは、企業が今後の進路として最適だと思うのか、ということが問われる。いずれも自分こそ、その大学、あるいは、その企業にふさわしい、ということを自分のこれまでとこれからのことを伝えながら主張していく。主に書類と面接を通してマッチングが確認され、必要な知力があるかどうかが小論文や適性検査 [→続きを読む]

昨日の自分と今日の自分は同じようで少し違う。1年前の自分と今日の自分はもっと違う。外界からの刺激や内面での活動によって人間の脳は日々物理的に変化している。新たな記憶がどんどん蓄積されていくのと同時に、これまでの記憶は整理されたり失われたりする。脳内の神経ネットワーク自体が変化する中でそれぞれの人の人格がある程度維持されていることの方が不思議なくらいだ。 理性によって昨日の自分と今の自分の連続性は保たれているように感じるが実際のところ日によって感情も考え方も変わる。明日の自分は今の自分と違う人にな [→続きを読む]

大学学部への志望理由として自分の将来のために必要な学びを得られることを挙げるのは常套かつ有効な方法であるが、必要だから、でなく、ただ単に好きだから、という方が審査官である大学教員の共感を得られることもある。将来、量子コンピュータを開発したいから量子力学を学びたい、だから物理学科に行きたい、というのもすばらしいが、物質が何から構成されているのかに興味がある、研究してみたい、だから物理学科に行きたい、という方が物理学科の先生の共感を得られるかもしれない。戦争のない平和な世界を実現したいからこれまでの [→続きを読む]